トピック

固定資産税は見積り計上できるのか

本日ご紹介するのは、
『固定資産税は見積り計上できるのか』です。

今回頂いた質問は、「納税通知書が発せられる前に、会社が独自に計算した固定資産税を費用計上した場合には、法人税法上の経費として認められるのか?」といったものです。

結論から申し上げると、認められません。
なぜなら期末日現在は、まだ賦課決定(納税の通知)がされていないからです。

固定資産税は、毎年賦課期日(1月1日)における固定資産の価額を課税標準として、同日現在の固定資産の所有者に賦課されるため、毎月、月割計上することがあります。
固定資産税は、毎年4月ごろに納税通知書が発せられますから、納税通知書が発せられる前、すなわち毎年1月から3月までは見積額で計上されます。

例えば3月末日決算法人の場合ですと、期末日現在まだ納税通知書が発せられていませんから、債務が確定しておらず、3月末日現在において、債務確定基準(法人税法22条乃至法人税基本通達2-2-12)の要件を満たしていません。
したがって、1月から3月までの分として未払金に見積計上した金額は、法人税法上は経費として認められないので、加算調整します。

わかっていただけましたでしょうか。

(各事業年度の所得の金額の計算)
法人税法第二十二条
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

(債務の確定の判定)
法人税基本通達2-2-12
法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件のすべてに該当するものとする。
(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

(租税の損金算入の時期)
法人税基本通達9-5-1
法人が納付すべき国税及び地方税(法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める事業年度の損金の額に算入する。
(1) 申告納税方式による租税 納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日(その年分の地価税に係る納税申告書が地価税法第25条《申告》に規定する申告期間の開始の日前に提出された場合には、当該納税申告書に記載された税額については当該申告期間の開始の日)の属する事業年度とし、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。ただし、次に掲げる場合には、次による。
イ 収入金額又は棚卸資産の評価額のうちに申告期限未到来の納付すべき酒税等に相当する金額が含まれている場合又は製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに申告期限未到来の納付すべき事業に係る事業所税若しくは地価税に相当する金額が含まれている場合において、法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度とする。
ロ 法人が、申告に係る地価税につき地価税法第28条第1項及び第3項《納付》並びに同条第5項の規定により読み替えて適用される通則法第35条第2項《申告納税方式による納付》に定めるそれぞれの納期限の日又は実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、当該事業年度とする。
(2) 賦課課税方式による租税 賦課決定のあった日の属する事業年度とする。ただし、法人がその納付すべき税額について、その納期の開始の日(納期が分割して定められているものについては、それぞれの納期の開始の日とする。)の属する事業年度又は実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、当該事業年度とする。
(3) 特別徴収方式による租税 納入申告書に係る税額についてはその申告の日の属する事業年度とし、更正又は決定による不足税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。ただし、申告期限未到来のものにつき収入金額のうち納入すべき金額が含まれている場合において、法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度とする。
(4) 利子税並びに地方税法第65条第1項、第72条の45の2又は第327条第1項《法人の道府県民税等に係る納期限の延長の場合の延滞金》の規定により徴収される延滞金 納付の日の属する事業年度とする。ただし、法人が当該事業年度の期間に係る未納の金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度とする。