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非常用食品や用具を買った時にはどう処理すればいいの?

本日ご紹介するのは、
『非常用食品や用具を買った時にはどう処理すればいいの?』です。

2011年3月の震災以降、日本人の防災に対する心構えが一段と真剣になったのではないでしょうか?
その効果なのか、防災グッズも、何でもあれば良いから、より快適に過ごせるものへと、その役割を進化させています。

食料品について言えば、冷たいご飯や固いパンだけではなく、温かいものや柔らかいものも店頭に並ぶようになりました。

そういった中、内閣府や東京都は、首都圏の会社に対して、従業員用の3日分の食料品や飲料水、毛布などの備蓄品を常備するよう促しています。

では、こういった備蓄品を購入した費用は、税務上どのように取り扱うと思いますか?

結論から申し上げますと、非常用食品は、備蓄時に消耗品費として一時の経費とすることができます。
毛布等の用具類についても、10万円以内であれば、少額減価償却資産として備蓄時に全額経費とすることができます。

ここで少し引っかかる点が出てきます。非常用食品は、消耗品費として経費にできますが、そもそも消耗品は、使用した事業年度に、その使用分のみを経費とし、未使用分は棚卸資産として資産計上するのが原則です。原則に従えば、未使用分を把握して、資産として計上する必要があります。

そこで、参考にしたい質疑応答事例があります。この事例によれば、非常用食品は、災害に備えて備蓄しておくものなので、備蓄時に非常用食品として使用したものと考えて、一時の経費とすることが認められています。

毛布等の用具類についても、これと同じ考えです。
この事から、未使用分を把握する必要が無いことが分かります。

もっとも、税金を低く抑えたいというだけの考えから、「災害用」という名目で、度を超えた量を購入したり、そもそも備蓄品とは関係ない物品を購入したのであれば、経費として認められないのは当然となります。

その点だけは気を付けてくださいね!

(消耗品費等)
法人税基本通達2-2-15
消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

質疑応答 非常用食料品の取扱い
【照会要旨】
当社は、地震などの災害時における非常用食料品(長期備蓄用)としてフリーズドライ食品1万人分2,400万円を購入し、備蓄しました。このフリーズドライ食品は、酸素を100%近く除去して缶詰にしたもので、賞味期間(品質保証期間)は25年間とされていますが、80年間程度は保存に耐え得るものといわれています。このように長期間保存のきくものであっても、購入時の損金の額に算入して差し支えありませんか。
なお、当該食品の缶詰1個当たりの価格は、その中味により1,000円(150g缶)~6,000円(500g缶)です。
(注) 従来のものは、その品質保証期間が2~3年であるため、当該期間内に取り替えていますが、その取替えに要する費用は、その配備時の損金の額に算入しています。
【回答要旨】
備蓄時に事業供用があったものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えありません。
(理由)
1 食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつものであること。
2 その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は、減価償却資産(法人税法施行令第13条)又は繰延資産(法人税法施行令第14条)に含まれないこと。
3 仮に、当該食品が法人税法施行令第10条第6号((棚卸資産の範囲))に掲げる「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること。
4 類似物品として、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること。
【関係法令通達】
法人税法施行令第10条第6号、第13条、第14条第1項第6号
法人税基本通達2-2-15